払えないとき
退職して払えないなら、未納ではなく「免除」を申請する
退職したのに、月17,920円の請求だけは始まります(令和8年度)。 収入が止まっているのに払えというのは無理があります。 そのための制度が退職(失業等)による特例免除で、失業等した方の前年所得にかかわらず申請できます。 前年の給与が高かったことは、この特例では不利になりません。
このページには売り込みも比較広告もありません。払わずに済ませられる可能性があるという一点だけを、 日本年金機構の記載どおりに書きます。
出典確認日 2026-08-14
この特例の核心
失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。
(日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」3.失業等による特例免除)
通常の免除は、本人・配偶者・世帯主の前年所得で審査されます。 退職したばかりの人にとって、これは致命的です。 去年は働いていたのだから所得はある。だから通らない——となりかねません。 特例免除は、そこを外してくれる制度です。
ただし条件が1つあります。日本年金機構は次のように書いています。
なお、世帯主や配偶者がいる方は、世帯主や配偶者が所得要件を満たしているか、失業等の特例に該当している必要があります。
自分だけ失業していても、同居する世帯主や配偶者に十分な所得があれば承認されないことがあります。 「必ず通る制度」ではありません。ただし、申請しなければ通ることはないのも確かです。
いつの月分から申請できるか
災害や失業等を理由とした免除(特例免除といいます)は、前年所得が多い場合でも所得にかかわらず災害や失業等のあった月の前月から免除が受けられます。
(日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」2.失業等の特例免除の対象期間)
ここで「失業等のあった月」がいつを指すのかも、同じページに書いてあります。
失業した日は離職日の翌日です。12月31日に離職したときは翌年が失業等の事由が発生した年となります。
つまり離職日(退職日)の翌日が起点で、 その月の前月分から免除の対象にできます。 国民年金の切り替えの起点とまったく同じ日です。 トップページの計算ツールは、この計算も同時に行って、 あなたの場合に申請できる最も古い月を表示します。
さかのぼれる限度は次のとおりです。
保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)が申請できます。
注意したいのは、免除の「年度」が普通の年度とずれていることです。 日本年金機構は「免除等での『年度』は、7月から翌年6月までです。」としており、1枚の申請書で申請できるのは7月から翌年6月までの1年度分です。 退職した月によっては、2枚出すことになります。
免除の種類と、年金額への残り方
特例免除で審査が免除されるのは本人の前年所得の部分で、 承認される免除の種類自体は通常の区分と同じです。 所得の基準(本人の所得が審査される通常のケース)と、 それぞれが年金額にどう反映されるかを並べます。
| 区分 | 所得の基準(前年所得がこの計算式の範囲内) | 納める保険料 | 年金額への反映 |
|---|---|---|---|
| 全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 | 0円 | 全額納付した場合の2分の1 |
| 4分の3免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | 4,480円 | 全額納付した場合の8分の5 |
| 半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | 8,960円 | 全額納付した場合の8分の6 |
| 4分の1免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | 13,440円 | 全額納付した場合の8分の7 |
| 納付猶予(20歳以上50歳未満) | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 | 0円 | 反映されない(受給資格期間には算入) |
表の「納める保険料」は日本年金機構が令和8年度の額として示している数字です (4分の3免除 4,480円/半額免除 8,960円/4分の1免除 13,440円)。 全額納付の月17,920円と比べてください。 なお日本年金機構は「地方税法に定める障害者、寡婦またはひとり親の場合、基準額が変わります」 とも注記しています。
未納のまま放置した場合との違い
保険料の全額を免除された期間は、老齢基礎年金を受け取る際に、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(税金分)を受け取れます。手続きをせず未納となった場合、2分の1(税金分)は受け取れません。
同じ「払っていない」でも、免除を申請してあるかどうかで結果が変わります。 さらに日本年金機構は、未納のままにすると 「病気やけがで障害や死亡といった不測の事態が発生したとき、 障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取ることができない場合があります」とし、「不慮の事故や病気が発生してから、過去にさかのぼって申請を行っても、 障害基礎年金の保険料納付要件に算入されません。」とまで書いています。あとから取り返せない部分がある、ということです。
そして、免除を受けた期間の保険料は後から納めることもできます。
免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出により後から納付(追納)して老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることができます。
収入が戻ってから追納すればいい、という逃げ道が残ります。 未納にはこの逃げ道がありません。
必要な書類と申請先
雇用保険の被保険者であった方 勤務先から交付される「雇用保険被保険者離職票」のコピー ハローワークから交付される「雇用保険受給資格者証」、「雇用保険受給資格通知」のコピー など
いずれもコピーで足ります。事業の廃止(廃業)や休止の届出を行っている方の場合は、 総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写しなどが挙げられており、 それらを用意できない場合の代替書類(履歴事項全部証明書、 税務署等への異動届出書・個人事業の開廃業等届出書の写しなど)も示されています。
また日本年金機構は 「過去に同一の失業等の事由により免除・納付猶予を申請し、失業等の事実が確認できる書類を 添付したことがある場合は、あらためて添付する必要はありません。」としています。
申請先 住所地の市(区)役所・町村役場の国民年金の担当窓口 お近くの年金事務所 なお、申請書は郵送で提出することも可能です。
切り替えの届出は市区町村だけですが、免除の申請は年金事務所でも受け付けています。 電子申請(マイナポータル)にも対応しています。
最後に、更新について。日本年金機構は「失業等による特例免除承認者は翌年度も申請が必要です。」と明記しています。全額免除・納付猶予には継続審査の仕組みがありますが、 特例免除はそれに乗りません。翌年度は自分で出し直す必要があります。
法令上の位置づけ
申請による保険料免除は国民年金法第90条が定めています。 第1項の柱書きとただし書きが、いま述べた「本人だけでなく世帯主・配偶者も見る」の根拠です。
次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があつたときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(略)に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、(略)ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、この限りでない。
(国民年金法 第九十条第一項)
同項第4号は「保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で 定める事由があるとき。」としており、失業等の特例はこの流れに位置づけられます。 条文は e-Gov法令検索の条文取得APIから当日ライブで取得して照合しました。